もし、この人の作品を聴いていなければ今こんなことをしていないだろう、というくらいの大きな存在、所謂 Favorite というような位置付けではなく、「音楽を制作する」という具体的な道を指し示してくれた、どちらかというと師匠的意味合いを持つ存在、僕の中では Brian Wilson がそれに当るが、もう一人、そうした意味で僕にとって決して外せない重要な方が、作曲家「山川恵津子」さんである。
彼女の曲を初めて耳にしたのは80年代後半、ちょうどアナログレコードとCDとの売上シェアが逆転し中古市場に大量にアナログ盤が溢れ始めた頃、懐かしさから「500円くらいなら良いか」と軽い気持ちで購入した「おニャン子クラブ」のレコードでだった。その頃の僕は自分自身のルーツを探している時期で、いろんなアーティスト、アイドルの楽曲を、これでもか、これでもか、と聴きまくっては取捨選択していた。その時購入した「おニャン子」のレコードでも当然その作業が行われたわけだが、なんとその結果、全ての曲が山川恵津子作品のみで占められてしまったのである。当然僕はそのことに大変驚き、山川恵津子さんとは何者ぞ、ということで、そこから山川恵津子作品探しの旅が始まった。休みともなれば今日はこちら、翌週はあちら、と東京じゅうの街へ出掛けて行き、中古レコードセールの店を見付けては飛び込んで、片っ端からレコードジャケットをひっくり返し「山川恵津子」の文字を探した。そうして出来あがった「山川恵津子・究極のベスト」テープは僕にとってのバイブルのひとつとなった。

山川恵津子さんの特徴は何と言っても、マイナーとメジャー7thを巧妙に組み合わせた哀愁のコード進行とそれに乗っかる哀愁のメロディだろう。定番進行も実に上手く使っている。歌というのは、コードに対するメロディラインに集約されてゆく、という基本を僕に教えてくれたのが Brian Wilsonと山川恵津子さんだったのだ。また山川さんはご自身の作曲、アレンジ作品ではキーボードとコーラスも担当されている。そこで選択されている音色がまた独特のもので、曲の良さを際立たせている。またその音色で演奏された裏メロ(対旋律)のフレーズも魅力的で主旋律を上手く補っている。ご自身の「Oo、Ah」系のコーラスも良い感じだ。

今でも僕は、彼女自身の個人データをまったく知らない。だが彼女の作品は、今も僕の身体に深く染み込んでいる。「山川恵津子」という作曲家の「素晴らしい作品」、これで十分である。
ここで僕が選んだ山川恵津子ベストSongを紹介し、僕自身の彼女に対するリスペクトとしたい。



避暑地の森の天使たち - 美奈代、満里奈 & 春美
おニャン子、究極の3名による究極のラブコメ風ポップソング。
全く素晴らしいです。

ポップコーン畑でつかまえて - おニャン子クラブ
イントロのマイナーからメジャーセブンのリフへ。
Aメロでの哀愁裏メロ。これぞ山川恵津子そのものです。
全く素晴らしいです。

金のリボンで Rock して - 志賀真理子
魔法のアイドル「パステル・ユーミ」のエンディングテーマ。
Aメロから、主旋律を食ってるサビの裏メロとその音色から
何から何まで、これこそ山川恵津子そのものです。
全く素晴らしいです。

悲しいことに、この曲を歌っていた志賀真理子さんは
留学先のアメリカで自動車事故の為亡くなってしまいました。
この曲の哀愁な感じが、いっそう胸に染みます。
名曲だと思います。

黄昏にキスをしないで - おニャン子クラブ
サビを歌う工藤静香の声に鳥肌が立ちます。
あまり好みじゃないコですが、この存在感はさすがです。
楽曲が良いということは、歌手にとっても素晴らしいことなのです。

シーッ!愛はお静かに… - おニャン子クラブ
内海さんの歌う「スクリーンには…」のくだりが泣けます。
フレーズと声質と音域が合った瞬間です。
この一瞬の為に生きているのです。

きみはどんとくらい - 立花理佐
定番コード進行に乗せて哀愁のサビ。
明るさの陰に暗さが見え隠れする、良質ポップソング。
立花さんの声質も良いです。

見つめてあげたい - 渡辺満里奈
Aの裏メロ。
フレーズから音色から山川恵津子そのものです。

Groovy Glory - 芳本美代子
Bメロからサビに向かって盛り上がり
サビそのものも良いです。
芳本さんの唱法がまた素晴らしく
音域もぴったりで、ホントにぐっと来ます。




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